(1) 中小企業創造活動促進法による支援
①特定中小企業者に対する支援
特定中小企業者(A:創業5年未満の中小企業者であって製造業、印刷業、ソフトウェア業又は情報処理サービス業を行う者、B:研究開発費対売上高比率が3%を超える中小企業者、C:研究開発費対売上高比率が3%を超える創業5年未満の中小企業者等)について次のような支援が行われている。
(a) エンジェル(個人投資家)税制
上記Cの特定中小企業者に対して、個人投資家が株式投資を行い、その株式について譲渡損失等が発生した場合には、その譲渡損失等について個人投資家は、繰越控除等の課税の特例の適用を受けられます。
(b) 設備投資減税
上記A、Bの特定中小企業者等に対して、事業の用に供する設備の取得価格(リースによる場合を含む)の7%の税額控除又は30%の特別償却(リース料総額の60%相当額について7%の税額控除)を行うことができます。
(c) 中小企業投資育成株式会社法の特例
特定中小企業者は中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることができ、資本金1億円超の中小企業者も投資の対象となります(同社の審査を受けることが必要です)。
②認定計画実施者に対する支援
認定計画実施者(生産・販売・役務の提供の技術(著しい新規性を有するものに限る。)に関する研究開発・成果の利用・需要開拓に関する計画の認定を都道府県知事から受けた者)は、さらに広範な支援が受けられます。
(a) 中小企業信用保険法の特例
新事業開拓保険制度(商品、役務の内容または提供等が中小企業者において広く企業化されていない技術を用いた事業等に対する債務の保証に係る保険制度)が利用でき、一般よりも債務保証限度額が引き上げられます(限度額3億円、うち無担保枠7,000万円、無担保・無保証人枠2,000万円)。
(b) 中小企業投資育成株式会社法の特例
認定計画実施者は中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることができ、資本金1億円超の中小企業者も投資対象となります(同社の審査を受けることが必要です)。
(c) 中小企業近代化資金等助成法の特例
設備近代化資金貸付及び設備貸与制度の償還期間が延長(5年→7年)されます。
(d) 課税の特例
次のような税制上の優遇措置が講じられています。
〈設備投資減税〉
認定計画に記載されている設備の取得価格(リースによる場合を含む)の7%の税額控除又は30%の特別償却(リース料総額の60%相当額について7%の税額控除)を行うことができます。
〈欠損金の繰越期間の延長〉
認定計画実施者のうち創業5年未満の法人については欠損金の繰越期間が延長(5年→7年)されます。
〈試験研究関連税制の拡充〉
認定計画を実施する組合等及びその構成員は試験研究賦課金の任意償却、増加試験研究費の税額控除ができます。
〈地方税の減免措置〉
認定計画を実施する組合等には、特別土地保有税の非課税措置、新増設に係る事業所税の非課税措置、事業に係る事業所税の課税標準の特例があります。また、中小企業事業団関連税制も拡充されています。
(e) 中小企業等協同組合法・中小企業団体の組織に関する法律の特例
異分野中小企業者等を構成員とする事業協同組合は、組合法9条の2第1項の事業のほか研究開発等事業計画に係る事業を実施することができます。また事業協同組合の構成員が研究開発の「成果の利用に係る事業」を協業組合で行う場合や「成果の利用に係る事業」を行うため事業協同組合を協業組合に組織変更する場合には、成果の利用に係る事業は協業対象事業として認められます。
(f) 低利融資
中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金等では各種の低利融資制度を準備しています。
- 地域中小企業活性化貸付 (中小企業金融公庫)
- 異業種交流促進特別貸付 (商工組合中央金庫)
- 異業種交流促進特別貸付 (商工組合中央金庫)
- 地域中小企業新事業開拓貸付 (民間金融機関等)
(g) 補助金
創造技術研究開発費補助金のひとつとして、研究開発に要する経費の一部が補助されます(多年度にわたる事業も対象になります)。補助金には認定計画実施者を対象とする創造的事業活動支援関連技術部門と、認定計画を実施する異業種組合及び旧融合化認定組合を対象とする融合化開発促進関連技術部門があります。
(2) その他の関連予算措置
中小企業創造活動促進法による支援のほか、中小企業大学校における創業者研修事業、財団法人ベンチャーエンタープライズセンターの債務保証制度、中小企業者が開発した新商品の出展を支援する事業(新商品テクノフェア開催事業)、小規模な試験研究に対する技術改善費補助、企業家精神涵養事業、創業支援・新分野進出などの特定診断助成、高度化融資を活用した創造的中小企業創出事業などがあり、中小企業者の創業活動を支援しています。
(3) 融合化対策
中小企業が環境変化に対応して新たな事業分野を開拓していくためには、異分野の経営資源の組み合わせや複合化による技術開発、製品開発、業態開発等を行うこと(経営資源の「融合化」)が必要であり、この融合化に対し、進展の度合いに応じた支援策が用意されています。
①交流段階
(a) 技術・交流プラザ開催事業
都道府県では、異業種の中小企業者が技術問題、市場問題等についての交流を図るための技術・市場交流プラザを開催します。
(b) 新分野開放試験室の設置
公設試験研究機関に、異なる技術の融合化の研究に必要な試験機器を設置し、中小企業に開放しています。
(c) 地域融合化センターの設置
地域中小企業の異業種交流の拠点として、地域融合化センターが設置され、交流の「場」や情報の提供を行っています。
(d) カタライザー派遣事業
異業種交流の世話役・まとめ役となるカタライザーが中小企業事業団に登録され、必要に応じ異業種交流の場に派遣され、交流活動の支援を行います。
②開発段階
(a) 融合化開発促進事業
創造技術研究開発費補助金を拡充し、「創造的中小企業振興枠」を設け、融合化の促進を図っています。
(b) 融合化組合集中指導事業
融合化組合の事業運営の円滑化を図るため、中小企業団体中央会が集中指導を行っています。
③事業化段階
(a) 異業種交流促進特別貸付
中小企業創造活動促進法の認定を受けた異業種協同組合等に対し、商工組合中央金庫より、長期、低利の貸付を行っています。
④市場展開段階
融合化活動等によって得られた新商品等の市場展開を円滑化するために、全国中央会からの補助で全国中小企業融合化促進財団が「新商品テクノフェア」を開催しています。
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