1.組合制度

(1) 組合の種類と内容

中小企業の組合制度には、①中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合、事業協同小組合、火災共済協同組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、②中小企業団体の組織に関する法律に基づく商工組合、商工組合連合会、協業組合、③商店街振興組合法に基づく商店街振興組合、商店街振興組合連合会などがあります。また、環境衛生営業関係、酒類業関係、内航海運業関係などについても、それぞれの組織法に基づく組合制度があります。

 ①事業協同組合

事業協同組合は、共同事業によって組合員の経営の近代化・合理化、取引条件の改善等を図るための組合です。4人以上の事業者が集まれば設立できますので、中小企業が共同事業を行う際に最も活用される基本的な組合です。組合への加入・脱退は自由で、組合員の議決権及び選挙権は平等です。
組合の共同事業は、組合員の事業に関するものであれば、ほとんどの事業が実施できます(中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法による認定組合(融合化組合)については、組合員の現行の事業分野に属さない新しい事業分野の研究開発事業(知識融合開発事業)も実施できます)。具体的な事業には、(a)生産、加工、販売、購入、保管、輸送、検査、受注、研究その他の共同事業(共同経済事業)、(b)事業資金の貸付、(c)福利厚生事業、(d)教育情報事業、(e)団体協約の締結、(f)債務保証、(g)組合員の新分野進出の円滑化を図るための事業などがあります。

 ②事業協同小組合

事業協同小組合は、主に事業者自身の勤労によって事業を行っているような小規模事業者のための組織で、組合員資格は従業員5人(商業・サービス業では2人)以下の事業者に限られています。実施できる事業の内容などは事業協同組合と同じです。

 ③火災共済協同組合

火災共済協同組合は、火災、爆発、風水害等による組合員の損害を補填し、組合員の事業の安定を図るための共済事業を行う組合です。1都道府県に1組合、また業種別組合については1業種につき全国で1組合しか設立できません。

 ④信用協同組合

信用協同組合は、組合組織による中小企業専門金融機関です。中小企業者や勤労者等の相互扶助を目的に、組合員に対する預金の受入れや資金の貸付などの金事業を行います。

 ⑤協同組合連合会

協同組合連合会は、協同組合(企業組合は除く)の上部団体で、各種の組合において2組合以上が会員となって組織するものです。事業は組合の種類によってそれぞれ異なりますが、個別の組合が単独で行うよりも大きな効果が期待できる共同事業(例えば、共同宣伝や共同広告など。火災共済協同組合連合会では再共済事業)を行い、会員である協同組合及び組合員の経済的地位の向上を図っています。

 ⑥企業組合

企業組合は、組合員が自己の資本と労働力の全てを組合に投入し、組合自体が1個の企業体として事業を行う組合です。このため組合員は組合の経営に参画するとともに、組合員の3分の2以上は組合の事業に従事することが義務づけられています。また、組合員は個人に限られ、法人企業の参加は認められません。

 ⑦商工組合

商工組合は、業界全体の中小企業者を代表して、その事業の改善・発達と安定・合理化を図ることを目的としており、同業組合としての性格を持っています。組合の地区は、(a)原則として1都道府県以上であること、(b)地区内の同業者の過半数が加入することなどとなっており、同業種では地区内に1組合しか設立が認められません。事業協同組合と並び中小企業組合制度の柱のひとつです。
商工組合が行う事業には、(a)指導等事業、(b)不況カルテル・合理化カルテルなどの調整事業、(c)組合協約の締結、(d)共同経済事業(出資組合に限る)などがあります。業界を代表する組織であるところから、構造改善事業なども商工組合が中心となって推進しています。

 ⑧商工組合連合会

商工組合連合会は、商工組合の上部団体であり、会員である商工組合又は商工組合連合会の行う事業の総合的な調整を行うことにより、中小企業者が営む事業の改善・発展を図っています。

 ⑨協業組合

協業組合は、企業規模の適正化による生産性の向上等を目的に、組合員の事業を協業(統合)し、組合自体が一つの独立した企業体として事業を行う組合です。協業する事業は、組合員の生産、販売などの事業の全部(全部協業)であっても、事業の一部(一部協業)であってもかまいません。
組合員には協業対象となった事業について競業禁止義務があり、組合の事業と実質的に競争関係にある事業を行うことができません。また、協業組合には一定割合の中小企業者以外の者の加入が認められるほか、事業協同組合等に比べて出資制限が緩和されており、出資比例の議決権付与も認められています。

 ⑩商店街振興組合

商店街振興組合は、商店街が形成されている地域において、小売業、サービス業などの事業者によって組織される(定款で定める場合は、これらの者以外の者も組合員とすることができます)組合です。共同仕入、共同宣伝、チケット・商品券発行などの共同事業の他、アーケードや駐車場、街路灯の設置などの環境整備事業を行い、商店街の整備・発展を図っています。

 ⑪環境衛生同業組合

環境衛生同業組合は、飲食店、理容、旅館、クリーニングなど環境衛生関係業種の同業組合で、17業種が指定されています。環境衛生の向上を目的とし、適正な衛生措置や衛生施設の改善を図るための事業を行います。

(2) 組合の設立手続

組合を設立するには、行政庁の認可を必要とするなど、一定の手続きを経なければなりません。設立手続は組合の種類により若干異なりますが、代表的組合である事業協同組合の設立手続を簡単に示すと、以下のようになります。

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