4.中小企業の課題と対応
<地域経済と中小企業>
(2) モノづくりを支える地域産業集積の活性化が重要。高付加価値化、新分野進出等の積極化等の開発型戦略が求められる(3頁目)。

 電気・電子機器製造業を営むB社(静岡県浜松市、従業者数45人)は、産業集積の機能を活かし付加価値の高い生産を行う研究開発型企業である。
 同社では、顧客からのニーズをくみ取る場合には、必ず顧客の現場に出向いて、フェイス・ツー・フェイスの接触を行っている。これにより、紙面には現れない、顧客が頭の中で描いているイメージを具体的に把握し、そのニーズが生まれた背景を理解して、使う人の立場に立ったプラスアルファの魅力を付加することを目的にしている。こうした姿勢の中で、操作性が極めて簡単な小型3次元自動測定機等、様々な製品を開発してきた。
 また、同社は昭和60年の創業以来、研究開発に注力するため、製品の生産については、周辺に様々な技術を持った企業が立地していることを活かして、徹底してアウトソーシングを行っており、現在では外注先が約20社に及んでいる。

 精密板金加工業を営むA社(長野県坂城町、従業者数40人)は、地元企業からの精密板金加工の高度な注文に応えることを通じて技術力を高めてきた企業である。
 同社では、特殊で難しい加工を行うに当たっては、発注先と現場を見ながらの綿密かつ頻繁なコミュニケーションを行うようにしており、発注先の求める品質を可能にしてきた。また、自社で対応できない工程が含まれている場合にも、近隣企業にその工程を外注し、迅速に発注先の要求に応じている。これらは、発注先及び外注先が地理的に近接していることが大きなメリットとなっている。
 こうした積み重ねにより培われた同社の技術力は高く、地元以外の企業からも引き合いが来るようになり、自動発券機やエレベーター外装の板金等において、遠方の大企業との取引も開始するに至った。

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