8.週40時間労働制の実施はコストアップ要因

収益が悪化した事業所増加傾向にある

週40時間労働制の実施は多くの事業所でコストアップの要因になっている。
平成9年7月の第1回調査では「コストアップを吸収できず収益が悪化した」という企業が40.4%であったが、平成10年2月の第2回調査では44.9%と4.5%増加している。この間「コストアップを吸収できた」という企業も33.2%から34.6%に1.4%増加しており二極化の様相が伺える(図15)。

図15 週40時間実施に伴うコストアップへの対応別企業割合

いずれにしても最近の景気の低迷もあり今後週40時間労働制の実施による収益悪化が懸念される。
こうした状況を業種で見てみよう。平成10年2月調査によりコストアップによって収益が悪化したとした企業が過半数を占めた業種を見てみると、一般機械機具製造業62.5%を筆頭に、金属製品製造業、輸送機械機具製造業、電気機械機具製造業などがある。総じて機械工業関連の業種が多い。それ以外では接客娯楽業57.1%がある。
収益が悪化したとする企業が全体の50%以下にとどまった業種は建設業(49.4%)、商業(47.5%)となっている。
一方コストアップを吸収したとする企業が多かったのは精密機械機具製造業の40%、その他の44.9%がある(図16)。

図16 コストアップへの対応-業種別企業割合

一方企業規模別特徴を見てみよう。零細・小規模企業では収益悪化先が多かったが、中規模・中堅企業ではコストアップを吸収できた先が多くなっている。従業員1~9人では悪化先が46.9%、10~30人が50.7%、31~100人が45.9%となっている。これに対し101~300人では逆にコストアップは吸収できた先が多く46.3%、301人以上の企業では過半数の56.3%が吸収できたとしている(図17)。

図17 コストアップへの対応-規模別企業割合

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