7.人件費増への対策は省力化と残業の抑制で

多くの業種で上げられていた「人件費増」への対応について見てみよう。
人件費への対応策の第一は省力化である。第二が残業の抑制、第三が雇用調整となっている(図12)。

図12 人件費増への対応別企業割合

業種別に見ると、金属製品製造業、一般機械機具製造業、輸送機械機具製造業、保険衛生業では過半数の企業が省力化をあげていた。これに対し省力化と残業の抑制の2つをあげているのは電気機械機具製造業、精密機械機具製造業である。雇用調整の実施をあげているのは接客娯楽業である。対応策が多くの項目に分散しているのは建設業、商業である。建設業や商業は他業種以上にその営業内容や企業規模がさまざまであり、問題が多岐にわたり対応策をしぼることが難しいのだろうか(図13)。

図13 人件費増加への対応-業種別企業割合

規模別には零細・小規模企業で省力化と雇用調整が多かったのに対し、中堅企業は省力化と残業の抑制が中心であり、規模による対応の違いが出てきている。特に301人以上の先については残業の抑制が対応の第一に出ている。これは省力化についてはすでに手がついているためではないだろうか(図14)。

図14 人件費増加への対応-規模別企業割合

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