○事業の背景
井波彫刻は、京都本願寺の御用彫刻士に地元の井波拝領地大工が習ったのが起源とされ、220年以上の伝統を誇り、昭和50年には国の伝統的工芸品に指定された。その高度な技術は代々親方から弟子に伝承されてきたが、後継者の減少と体系的技術指導の必要性から、井波木彫刻工芸高等職業訓練校と提携し、後継者の育成を図っている。
○事業活動の概要
訓練校の校長には組合理事長が、副校長には副理事長が就き、管理・運営は理事会の下にある「訓練校対策部」が担当している。訓練校対策部は部長1名を筆頭とする計4名のスタッフから構成され、志願者の受付、時間割編成、講師の手配などを主な業務としている。また、訓練校には専従職員として女性1名を派遣している。入校生は組合員(親方)に弟子入りし、親方と寝食をともにして働きながら週に1日訓練校に通学するシステムになっている。訓練期間は5年間で、3年間の普通過程で、一般教養科目及び木彫刻の基礎技術・技法を学び、更に次の2年間の短期過程では、木彫刻の実習指導を受ける。その結果、最終的に技能照査・審査に合格した修了生に対しては、労働省認定「井波彫刻士2級」の資格が与えられる。
○成果
訓練校は平成9年に50周年を迎えたが、これまでの総入校生は626名(うち女性18名)、総修了生は380名(女性8名)に達している。この50年間に1年平均14人入校し、9.5人が修了したことになる。このように毎年安定した人数の入校生を迎え、修了生を輩出している。220年の伝統を誇る井波彫刻の技術・技法は確実に後継者に伝授され、井波の伝統工芸品産業の振興に寄与している。また、組合が運営を委託されている井波彫刻総合会館において彫刻等を実演する匠工房の職人は、訓練校の修了生であることが前提となっている。このように修了生は、訓練校を卒業した後もその技術・技法を磨き、一人前の職人を目指している。
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