○事業の背景
昭和63年、長野県自動車販売店協会(会員45社)と日本自動車販売協会連
合会長野県支部が中心になり、廃棄自動車による環境影響の研究を開始した。
急速な車社会の発展に伴い、廃棄自動車の野積み問題、フロンガス、廃油などの
環境汚染の問題、廃棄物の最終処理処分場の不足問題、さらに平成10年の長野
冬期オリンピックの景観問題など自然破壊や地球環境の保全など新しいさまざま
な問題が浮上してきていた。長野県では、年間25,000台の廃棄自動車が発
生しているが、自ら責任を持って処理することが「資源、環境、リサイクル」に
対する自動車販売事業者の企業責任と考え、廃棄自動車の回収、解体工場を建設
した。「環境保全を第一とした資源の再利用化を進める」という、明確な目標の
もとに環境意識の改革を行い、相互扶助の精神のもと、平成7年56社で協同組
合を設立、7億8千万を投じ工場を建設した。工場は平成9年度より稼動してい
る。
○事業活動の概要
長野県東部町に敷地25,877㎡、事務室・工場3,189㎡を建設し、自
動車販売業者が事業活動から生ずる廃棄自動車を回収、解体して再利用部品の取
外し、鉄クズなどを販売することで資源再利用化を図っている。廃棄自動車を解
体する過程で発生するフロンガス、バッテリー、タイヤ、鉄クズなどの環境汚染
物質の適正処理を行い、油類は100%自家消費することで地域への環境汚染、
省エネを実現している。工場は、液抜き取り作業室、部品取り作業室、解体プレ
ス室の3部門で構成され、すべて室内で作業を行うことにより、環境汚染物質、
公害物質の飛散を防止している。
○成果
部品のリサイクル化については、解体した廃棄自動車より部品を回収し、リサ
イクル部品として販売している。適正処理の問題では、フロンガス、バッテリー、
鉄クズプレスを適正業者に処理委託し、廃タイヤを火力発電所で100%燃料化
することができた。また、油類の自家消費については、抜いたガソリン、オイル
類による自家発電、焼却の熱利用で100%達成している。解体処理工場は、立
ち上げ1年半で回収・解体の処理能力を年間12,000台に高めた。年間24,
000台を目標としている。
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