○事業の背景
こんにゃく製造業界は、全国的に市場が成熟しているため、中小零細企業にとって大手企業の攻勢は致命的といえる。当地域についても、一部の有力企業が中小企業の経営を圧迫しつつあった。中小零細企業が生き残るには、品質の安定化とコストダウン、迅速確実な供給体制の確立が必要だが、家内労働力を主体とした組合員は、非効率な生産体制から近代的な設備による効率的な生産への転換は不可能だった。また、個々の企業では資金や、販売力に問題があり設備稼働率も良くなかった。そこで、地域の中小規模の同業者が集まり、機械化による共同生産を計画した。幸い大部分の企業が参加することとなり、当組合が誕生した。
○事業の概要
こんにゃく類やえご(海草)類の共同生産を行っており、組合員が販売する商品は、全て組合で製造する完全共同生産体制がとられている。生産は組合員自身が行っているため、組合従業員はいない。組合は理事長ほか7人の理事による毎月の理事会で運営されているが、コミュニケーションは良好である。競争は厳しいが、毎年2,000万円前後の売上げを維持し続けており健全な経営を行っている。
○成果
新しい機械や設備を導入したことにより、製造から包装までが自動化され品質が向上するとともに、手作業時代に比べ生産性は5倍程度向上しコストダウンも実現した。また、商品の均一化が可能となり顧客の評判が良くなった。厳しい環境の中でも販売実績は低下せず、地域需要の25~30%程度のシェアを維持している。これまでの家内労働がなくなり作業が楽になったことで、組合員に時間的な余裕ができ、組合員個々が販売に注力する時間が増えたことが何よりも大きな成果である。
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