○事業の経緯
昭和30年代から40年代にかけての高度成長は、地方の左官業にも急速な構造変化をもたらした。それまでの鹿児島県左官業組合連合会も県下を網羅するゆるやかな連携組織から、もう一段階、脱皮する必要があった。左官職からタイル職や塗装職等が次々と分化・事業化し、土木・建築の部分下請工事業化にますます拍車がかかったこと資材等の高騰や、労働力不足を補うための機械等の購入が経営を圧迫してきたこと等を背景に、協同組合化は、左官職の独自性と地位向上、経営の安定、技術の改善のために必要不可欠のものであった。なかでも、共同購買事業は、左官業存立のための柱であった。
○事業の仕組
本事業を第一優先の事業として、組合の信用力を背景に、資材店、メーカー、商社等との連携を図り、組合員に対する工具、資材、原材料等の安価な供給を図るための仕組みを作りあげた。また、提携先の活用により、組合員の技術改善のための情報提供や後継者育成のための教育訓練等を事業の柱として活動してきた。
○組織の体制
理事会のほかに10の委員会を持ち、特に本事業については、密接に関連する単価、資材、渉外の3委員会を個別に機能させている。組織の維持費は、主に組合員からの賦課金と購買収入、アパート収入である。
○成 果
左官業としての誇りと自立への情熱は、左官会館の建設へと結実しその後の共同購買、教育訓練、福利厚生等の事業実施につながることにより、業界の地位向上に寄与してきた。特に本事業は、組合の結束力・信用力により、関連資材等の物価抑制にも役割を果たした。また、新しい資材や工具・技術等の改善と組合員への普及活動は、単なる情報サービスを超える貢献があった。
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