○事業の経緯
醤油は、生産過程に長い熟成期間を要するので中小企業ではコスト負担が重く、大手メーカーとの販売競争においても不利である。製造過程から協業化することによって生産コストの引下げが絶対の必要条件である。また、粗悪品のアミノ酸醤油が出廻って市場を攪拌しつつある状況も考慮し、醸造メーカーが協業化することで伝統的食品としての醸造醤油を守ろうという共通認識のもと、昭和48年に広島県下の70社が参加して組合を発足させた。
○事業の仕組
協業化によって安定成長の途は得たものの、問題の生産コスト低減の道は開けていなかった。主要原料のうち小麦については、政府管掌の物資であるから仕入値は公的価格であるが、大豆は国際商品として相場の変動が厳しいので、安く仕入れるには相場情報の捕捉が必要である。検討の結果、大手醤油メーカーは、国際商品市況の中から安い大豆を仕入れることに優れた機能をもっており、その大手メーカーを通じて仕入れることが適切と判断し、その筋に縁故のある理事を通じて申し入れたところ応諾を得た。それに加えて、大豆にしても小麦粉にしても袋詰めのものは割高なため、トラックでバラ買いのものを運ぶことで、割安仕入が可能となった。
○成 果
仕入ルートの開発と大量バラ仕入という二重のメリットが生かされるとともに醸造設備を思い切って近代化したことで安く大量の醤油生産が可能となった。現在は、組合の生産した醤油の生地も組合員が引き取り、それぞれに仕上加工して製品を市販し大手メーカーとの市場シェア争いにも負けない力を持つようになっている。
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