○事業の経緯
昭和62年1月、第2次造船不況のため親企業が和議の申請により倒産した。造船業は、臼杵市にとっては醸造業とともに基幹産業であり、造船関連中小企業の存立基盤に深刻な影響を及ぼすほか、地域の雇用安定にとっても再建が欠くことのできないとの認識から、行政をはじめ関係団体による企業再建、連鎖倒産防止への努力が続けられていた。一方、構成員は親企業の再建のため、受注活動を支援する最良の方策として、工期短縮、コスト削減、品質確保のリストラを推進、これを実現するための手段として作業の標準化に取り組んだ。
○事業の仕組
親企業の倒産による危機は、造船所再編に伴う三井グループへの参加、商船三井からの受注増により切り抜けることができた。これは下請があらゆる種類の造船建造に対応し得る高い技術力を保有していると評価された結果であった。高度な技術を要するダブルハル、PCC、ケミカルタンカー等付加価値の高い特殊船舶の受注増が、本事業の実施効果を更に高める結果となり、親企業の順調な再建に大きな役割を果たした。
○組織の体制
船舶建造は、下請のみが従事する特殊な形態を採用していることから、親企業との連携強化のための組織を設置し、意思疎通を図っているほか、組合内部で委員会を設け、部門別計画の精査、検討並びに総合調整を常に実施して齟齬を生じないよう努めている。
○成 果
作業の標準化は、工程計画策定の容易化、従業員の技術修得への刺激、作業目標の明確化に伴う自主管理の促進、作業改善への積極的な取り組み等、コスト削減、人材育成両面の効果がある。また、構成員の相互信頼の高まりが、円滑な組合運営に大きく寄与している。
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