○事業の経緯
当温泉は“信州の鎌倉”としてのイメージが定着している古い温泉地である。いわゆる歓楽型温泉でないため、景気変動に左右されず、歴史文化探訪を中心に一定の訪客数を確保している。しかし、当地の旅館業の労働力は高齢者、パートへの依存が大部分で、加えてその労働力は女中、掃除婦的な感覚でみられるほか、旅館業特有の変則勤務体制もあり、労働力確保は他の業種に比べ一段と深刻である。そこで、人材確保推進事業の指定を機に、組合員(地域の全旅館が組合に加入している)が一致して労働力確保のための労働条件、労働環境の改善に取組んだ。
○事業の仕組
主要事業の内容は「労働時間の短縮」「接客マナーを中心とした人材育成」「採用活動の改善」を狙った労働環境の改善、人材育成、採用活動の合理化等であるが、国の助成事業でもある関係で県、国の指導助言を受けている。また、実施上の個別プロジェクトについては、民間コンサルタント機関にも協力を得ている。
○組織の体制
組合の特別プロジェクトとして「人材確保推進組織」を設け、時短研究、福利厚生推進の3委員会により、全員参加で事業を推進している。
○成果
時短については全組合員が週休2日制を実施するまでに至ったほか、サービスマニュアルによる教育成果がかなり浸透してきている。人材確保についても、PR効果が効き始め、改善の方向に向かっている。そのほかこの事業を通じて組合員間のコミュニケーションも一段と強まり、経営の近代化に役立っている。また現在はソフト面の事業にとどまっているが、温泉内下水道整備に合わせ、従業員の福利厚生施設の整備などのハード面の事業も計画している。
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