○事業の経緯
計画段階では老朽設備を有する1社を除いて処理施設を有しておらず、いずれも高額な運搬費用をかけて急場を凌いできたが、処理場の将来見通しは全く立たない状況下におかれていた。このような現状を克服し、法による排水濃度の規制強化に対処し、企業の存続を図るために本事業は計画され、ラグーンシステムを採用、曝気槽3槽を配置した。また構成員の生産量増加をも考慮して日間最大排水量に15%の余力を持たせて設置され、現在順調に稼働しており、構成5企業の収益性向上に貢献している。
○事業の仕組
組合員は異業種により構成されており、排出する水量、濃度が異なるため、負担の公平を期する見地から「投入水量×COD濃度=総量」を基礎としてすべての算定を実施している。原水投入は構成員の手によって行われるが、それ以後の記録や処理はすべて自動化されていることもあり、人件費削減の面からも日常の検査等管理運営は、永い経験とノウハウを有する代表理事企業の社員に委託している。
○組織の体制
経理係は使用料計算が主体となるが、検査係はトラブル発生時には早期に対処するため、放流時における自動記録装置の数値検査を30分〜1時間間隔で行う等細心の注意を払っている。
○成果
本施設の共同設置に伴い、生産性向上に直接関連しない廃水処理への投資額が大幅に削減できた企業2、規制強化に対処する術を失いつつあった厳しい経営環境を克服できた企業3と、構成員すべてが大きな成果を得ている。環境保全のための施設の確保が企業の合理化に寄与するとともに、後顧の憂いなく自社事業の推進に専念できる経営環境が整備され、組合に対する組合員の信頼感と帰属意識が高まり、円滑な組合運営の基盤を構築することができた。
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